南海日日新聞どうくさ
「自発性、楽しさ根幹に」
脳科学に基づいた運動療育として全国で注目されている「柳沢運動プログラム」。
16日、奄美大島に来島したプログラム開発者の柳澤弘樹さん(36)に開発の経緯や効果などを聞いた。
柳沢運動プログラムとは

やなぎさわ・ひろき こどもプラスホールディングス(株)代表取締役。博士。幼児の発育発達に合わせた形で運動遊びを提供し、認知機能の向上、心の発達を脳科学的な視点で研究。全国の自治体で講演や支援を行う。
栁澤弘樹さんに聞く
-柳沢運動プログラムはどうやって生まれたのか。

「父が40年ぐらい前からやっていた幼児の運動を基に、私が障がいのある子ども向けの運動遊びをつくった。7年ほど前から気になるお子さんへの配慮が注目されている。兵庫県の依頼を受け、発達障害、自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さんたちの研究をした。運動すると子どもたちが変わったようだ、という現場の声があり、実際に神経活動を測ってみると、運動する前と後では、運動した方が頭の反応も成績も良くなっていた。「運動っていいかも」と皆さんが肌で感じていることが数値で出てきた。これを効率よく提供できないかと、5年半前に放課後等デイサービスの事業を始めた。運動を主軸にして、子どもたちに療育を提供させてもらっている」

-どんな運動をするのか

「運動と学習をセットにしたプログラムとなっている。運動には幾つか種類があって、運動の継続時間、強度、使う筋肉とか、だいたい10分ぐらいの運動で子どもの自発性を大事にして全身をうまく使う。協応動作というが、手と足を連動させて動かすとか、全身をうまく連動させて動かすというのは大事で、そこを子どもたちに身に付けてもらう」
「使える体があれば、できることが増えてくる。自分の体をうまく使いこなせることで、その体をもとに人とのつながりであったり、会話、言葉、社会性が積み上げられていく。できたことが明確に分かるものは具体的に褒めてもらえるので、自信がつきやすいと思う」
「子どもには強制運動がストレスとなるので、自発性、楽しさというところを重視してあげるというのがこのプログラムの根幹にある。楽しく運動するというのを主軸にしながら、運動後に頭が何かを吸収できる状態がつくられるので、言葉とか、記憶的な学習をする流れをつくる」

-健常者にも効果があるのか。

「そうですね。基本的にプロセスは変わらない。ステップはみんな同じ。ただ障がいのある子のペースは緩やかなので、確実にそのステップを踏ませてあげられればいい。運動も勉強もそのペースが他の子と合わなくなってきたときに、その子たちのやる気がそがれてしまう。恥ずかしいから嫌だとか、できないからと止まってしまうのはよくないこと。それを教室で補う。

-柳沢運動プログラムを中心に運動療育を行っている奄美市名瀬の「シエル名瀬教室」を見学させてもらった。子どもたちの自発性を引き出すスタッフの工夫や言葉掛けが印象に残った。

「子どもたちが『やりたくない!』というときもあるが、気持ちに寄り添い、やる気につなげる。そこは先生たちの腕の見せどころ。療育という時間の下、先生という専門家に導かれ、例えば運動をやらなかったときは個別の活動を頑張りましょうと。運動と学習と自由活動を組み合わせ、1日だけではなく、長期的に子どもたちの成長を見ていただきたい」